第3回定例会(9月議会) 一般質問の報告

枯れ木の横に若木が成長

(1)ナラ枯れ対策と緑地保全の考え方について、訊きました。

わが国の天然広葉樹林のなかで、ナラ枯れと思われる被害は早くから各地で記録されていますので、新しい生物被害ではありませんが、1980年代以降に被害が急激に拡大し始めました。

東京都では、2010年度に島しょ部(三宅島、御蔵島、八丈島)で被害が確認された後も内地での被害は確認されずにいましたが、2019年度に入って都立公園にナラ枯れの症状が確認されました。多摩地域では昨年度から、急速に被害が広がっています。

原因となるカビの一種、ナラ菌を持ったカシノナガキクイムシは、6月から7月に樹木に穴をあけて産卵します。越冬した幼虫が春に羽化し、翌年の夏にまたナラ菌を持って飛散し、新たな樹木に穴をあけて産卵する、というサイクルを繰り返します。

「拡大が続くナラ枯れの実態と現在の対策は?」

答え)町田市では2019年度の被害として数本しか報告されなかったのが、2020年度には市内の全域で被害が確認され、被害樹木の総数は数百本に及んでいると推測されます。ナラ枯れの対策として公園や緑地の18箇所でトラップを設置し、原因となる「カシノナガキクイムシ」の捕獲を実施しています。

「被害木への対応は?」
答え)枯死した樹木は、公園、緑地の利用者や近隣住宅に倒木の危険性があるものを優先して伐採処分を行っています。伐採後の切り株から若い芽が出たり、種子が発芽するなど、自然に再生しています。

「市内で被害が目立つ樹種は?」

答え)ブナ科のコナラ、クヌギ、マテバシイ、シラカシ等が被害を受け、中でもコナラの被害が多くなっています。被害木のおおむね8割がコナラで、次いで多いのはクヌギです。

「カシノナガキクイムシ対策の実働と適した次期は?」

答え)捕獲を行っているのは団体で、個人での参加はできません。個人で参加意欲のある方は、ボランティア団体に加入して参加していただくことができます。6月~7月がカシノナガキクイムシの活動するピークなので、この時期にトラップを仕掛けるのが最も捕獲に適した時期です。

「来年はどのように取り組むのか?」

答え)カシノナガキクイムシの捕獲作戦は、来年度以降もボランティア団体の方々のご協力をいただきながら継続して実施していきたいと考えております。

「新成虫は、少なくとも春先までは孔道内で生存していると聞きます。来年度も引き続き対応をお願いします。

林床に差し込む光の具合で、林の中の植物、山野草と呼ばれるものの多様性、他の生物を含めた多様性があるかどうかが変わってくると思います。ひとの生活と無縁になった緑地(ふるさとの森や、公園の緑の部分)について、どのような状態を望ましいとするのか、考えはあるのでしょうか。また東京都で公園を管理する指定管理者などと情報交換して対策を研究したり、見識を持った人を相談役につけるなど、緑の管理について研究する動きはあるのでしょうか。」

答え)緑を管理するためには、様々な知見を持った担い手が必要と考えます。公園指定管理者、ボランティア団体、民間事業者含め、担い手になりうる人を繋ぐプラットフォーム構築に向け、研究を進めています。

(2)今年3月、「町田市子ども発達支援計画」の基本的な理念の実現に向けた具体的な行動内容を示す「町田市子ども発達支援計画行動計画(2021~2023)」を策定しました。その中に、医療的ケア児のいる家庭の支援体制の充実が記載されています。町田市の医療的ケア児へのサポート充実を望む声が寄せられましたので、質問しました。

 「医療的ケア児と呼ばれる子どもは、全国に2万人と言われています。町田市の現在の状況と課題は?」
答え)医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に人工呼吸器による呼吸管理、喀痰(かくたん)吸引その他の医療行為を受けることが不可欠な児童です。市内の医療的ケア児の人数は各年4月1日時点で、2019年は75名、2020年は76名、2021年は81名と増加傾向にあります。また、歩ける児童から寝たきりの児童まで日常生活の状況は様々です。

「子ども発達センターにおける医療的ケア児への課題は?」

答え)週5日通園クラスにおいて医療的ケア児の申込みが増加傾向にあり、ここ数年は全てのお子さんをお受けできない状況が生じています。入所できなかった児童に対しては、子ども発達センターの職員が、ご家族からの相談に対応しています。

「動ける医療的ケア児問題」について、市はどのような問題と捉え、今後どのように取り組んでいくのか?」

答え)「動ける医療的ケア児」は歩くことができるため、重症心身障がい児のような重度の肢体不自由や知的障がいを伴う児童を対象とした施設には安全確保の観点から通所することができません。一方で、重症心身障がい児以外を対象とした一般的な施設では医療スタッフが配置されていないため、通所できる施設が非常に不足している問題と捉えています。

国は令和3年度、障害福祉サービス等報酬改定において、一般的な児童発達支援や放課後等デイサービスでも「動ける医療的ケア児」に対応できるように基本報酬を新設し、看護職員の配置を行った場合に必要な額が手当てされるようになりました。

町田市では、「動ける医療的ケア児」を子ども発達センターで受け入れてきましたが、民間の事業所にこれらの制度の活用を働きかけ、受入可能な事業所を増やしていきたいと考えています。

「医療的ケア児の保育所受入の対象児童や定員は?」

答え)町田市では、2018年に「医療的ケア児の保育所等受入れガイドライン」を策定しました。受入れ対象の児童は、集団保育が適切であると認めた3歳児クラス以上の経管栄養、喀痰吸引、導尿の児童とし、保育中の医療的ケアは看護師が行います。

医療的ケアを実施する5つの公立保育所全体で毎年度、新たに3名の募集を行い、体験保育や「町田市医療的ケア児・重症心身障がい児支援協議会」に設置する通所検討会の意見を参考に、市が入所を決定します。本ガイドラインに基づく受入実績は1名です。

「「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の施行により、今後、市の支援体制はどのように変わっていくのか?」

答え)「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の中で、地方公共団体については、「基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有する」と規定されています。その他、保育所等の設置者や学校の設置者の責務、支援に係る施策、日常生活における支援、相談体制の整備などについて規定されています。

町田市ではこの法律の主旨を踏まえ、医療的ケア児とその家族が適切なサービスを受けられるよう、関係機関との連携や支援体制の強化を図っていきます。